ArcTraxはコンパクトなパネル構成で幅広い音作りができるように設計されたソフトウェアシンセサイザです。基本的な音源構成は減算方式のシンセサイザですが、様々な音のバリエーションを得られるようにするために独自の仕組みを多く取り入れています。
ArcTrax is a software synthesizer designed to allow a wide range of sound creation in a compact panel configuration. Although the core structure is a common subtractive synthesizer, it has a lot of unique mechanism and parameters in order to obtain a wide variety of sounds.
ArcTraxは強力なオシレータを2基搭載しています。
オシレータにはcolorというパラメタがあり、pulse, bump, speed, fiberの4種類のモードから一つを選び波形の倍音構成を変化させます。一般的なシンセのPWMに相当しますが、音色の変化の仕方が異なるモードが複数あるため、多様なバリエーションの音が得られます。矩形波以外の基本波形に対しても有効です。内部ではFFTを使って動的に波形テーブルを生成・更新する実装になっており、エイリアスノイズの発生を抑えながら波形を変形させています。
オシレータのpileパラメタでは複数のユニゾンモードから一つを選び、音の広がりを調節します。colorパラメタによる倍音操作が適用された基本波形を最大7個重ねて鳴らすことができます。ユニゾンは各パーシャル波形ごとにステレオで処理を行っており、左右のチャネル間での位相差を調整することで音に空間的な広がりを与えています。
ArcTraxにはLFOやEGがなく、そのかわり独自のモーションコントロール機能を採用しています。 従来のシンセのLFOやEGを用いてオシレータ、フィルタ、アンプを変調する方式は、 モジュレーションのソース、デスティネーションがどこがどこに繋がっているかわかりにくかったり、 変調が内部のパラメタにどう作用しているかが直感的にわかりにくいという問題があります。 ArcTraxのモーション機能はこれをもっと簡単にエディットできるよう考案したものです。 すべてのノブが独立して動作するモーション機能を持っており、パラメタを変調させるのではなく モーションの出力でノブの値を直接置き換えるように動作します。
特に高機能なシンセでは、多数のモジュールがモジュレーションマトリクスやテーブルなどで繋がれているため、音色がどのように構成されているのかがすぐにはわかりません。また、一旦接続を解除して調整を行い再度全体の音色をまとめるという作業が簡単にできません。ArcTraxでは各ノブに対してそのノブ専用のモーション機能があり、複数のモジュレーションが影響しあうことがありません。各ノブのモーション機能は個別にon/offできるため、音色の分析や再構成が容易です。
EGによる変調では、ADSRによるエンベロープカーブと、amount,depthなどの変調量を指定するパラメタで対象のモジュールに変調をかけるのが一般的です。このときに、変調がモジュールの内部状態に対して作用するため変調先のモジュールによって効果の度合が視覚的にわかりにくく調整が難しいです。ArcTraxのモーション機能ではノブの初期位置v0と到達位置v1を指定し、発音後時間tをかけてノブが回転するというのが基本的な動作となっています。ノブを直接回転させるため、ノブの位置と音色の変化が常に対応しており、直感的に音色の変化を組むことができます。
すべてのパラメタノブを統一的に扱いモーション機能を使えるようにしたため、エフェクトのパラメタにもモーション機能があります。モーションはボイス発音時からの時間によって動作する仕組みなので、各ボイスごとにエフェクトの処理を行っています。ディレイタイムなどのパラメタノブをモーションで動かすと面白い効果が得られます。
Windows10向けのストアアプリです。Windows10が動作しているPC上で動作します。
Windowsストアで公開しています。
PDF形式のマニュアルがあります。 ArcTraxUserManual_jp.pdf
A store app implementation for Windows 10. It works on the PC running Windows 10.
It is provided on Windows Store.
There is a user manual in PDF format. ArcTraxUserManual_en.pdf
Windows7以降で動作するVST3形式のプラグインです。
動作には.NET Framework 4.6が必要です。また、Visual C++ 2015のライタイムの導入が必要な場合があります。
A VST3 plugin runs on Window 7 / 8.1 / 10.
.NET Framework 4.6 is required.
Cyber-Rainforceさんが、オリジナル曲の音源にArcTraxを使用したアレンジを作ってくれました!!ありがとうございます。主にシンセパートにArcTraxが使用されており、一部ドラムやギターなどには別の音源も使われています。Cyber-RainforceさんのWebサイトはこちらです。また、Cyber-Rainforceさんによるモーション機能の使い方の記事がこちらにあり、非常にわかりやすいです。
truth | シンセパートがArcTraxで、ギターとドラムは別音源です。 |
reddish road | メロディパートにArcTraxが使われています。 |
soregashi | ギター以外の全パート(ドラムも)がArcTraxです。 |
the mother | ArcTraxを使い、ピアノとバイオリンを模したものです。 |
こんな使い方もできます。ノブが暴れまわります。
Knobs rotate lively!!